二軒屋駅
高校時代は、中学時代のように楽しい思い出には彩られてはいません。高校から始めた剣道部の猛練習と、往復二時間半の汽車通学の疲れから、いつも睡眠不足で眠く、けだるい感じがしていました。ガタゴトと揺れる照明の暗い汽車の中でしか、英語の勉強はしなかったように思います。右に左にと揺れる車両の中で、立ったまま、英語の参考書右手に、クラウンの辞書を左手に、万年筆を指のまたにはさんで、英文法や英文解釈の問題を解いている私の形相のすさまじさに、四歳の女の子が立ち上がって席を譲ってくれようとして、恐縮したこともあります。
「太陽の法」第6章エル・カンターレの道より